N-アセチルグルコサミン(NAG)は、関節軟骨を構成するグリコサミノグリカン(ヒアルロン酸等)の構成成分です。
軟骨細胞を用いた試験では、NAGを添加することによりヒアルロン酸産生量が増加することを確認しています1。
アセチルグルコサミンは、グルクロン酸構造と結合し(B-1,3グルコシド結合)、ヒアルロン酸などのムコ多糖類を量産します
ムコ=ムコス(ラテン系語で粘液)
多糖(ブドウ糖のような単糖が数百から数十万個重合したもの)
肌の潤いを保ち、関節で「クッション」のように働きます
ヒアルロン酸は皮膚や関節滑液等に広く分布して様々な役割を担っていますが、加齢により減少することが知られています2。
NAGを摂取することで以下のような効果が期待できます。
膝関節に違和感・痛みがある健常者にNAGを毎日500mg、12週間摂取させ、JOAスコア(日本整形外科学会変形性膝関節疾患治療成績判定基準)を評価したところ、図1の通りNAGを摂取しなかった群と比較して摂取群ではJOAスコアが有意に改善されました3。また、膝軟骨に人工欠損孔を作出したウサギに対し、NAGを1日1g与え3週間飼育したところ、軟骨成分の再生による欠損孔の修復が確認されました4。
このように、動物においてもNAGの摂取により軟骨成分の再生が確認されました。
X線所見:右膝側面像
変形性関節症の評価において、骨棘(こつきょく)形成(白矢印)と関節液量(黒矢印)の所見が重要となる。2021年に比較して、2022年の骨棘の大きさは若干増加したが、関節液量は同程度である。
変形性関節症としては同程度の状態を維持しているものと評価する。
変形性関節症を患う秋田犬にNAGを投与したMRI
NAG投与後の秋田犬
歩行困難であったチワワに約1ケ月NAGを投与
NAGは肌の角質水分量を増加させ、かさつきを減らし滑らかな肌にすることが知られています5。また、表皮、真皮中のヒアルロン酸含有量を増加させる効果があることが知られています6。
短鎖脂肪酸(酢酸、プロピオン酸、酪酸)は体内でエネルギー、脂肪、糖合成の基となり、腸内pHを下げることで腸内環境の維持に役立ちます。NAGを1%含有した餌をラットに与えたところ、腸内短鎖脂肪酸量が増加するとともに腸内pHが低下することがわかりました7。